俳優・奈緒(29)が主演を務め、7月5日に公開された映画『先生の白い嘘』の劇場パンフレットが発売中止になり話題になっています。
2024年8月1日、同作の公式サイトで発表されており、理由については、「制作上の都合により」とのみ記されている。
公開から約1か月での出来事となります。
サイトに記載されている文面は以下の通り。
「発売を延期しておりました『先生の白い嘘』劇場パンフレットは、制作上の都合により発売を中止させて頂くことになりましたのでご案内申し上げます。発売中止に伴い、皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしますことをお詫び申し上げます」
同作品については、ENCOUNTが7月4日に配信の三木監督インタビューによれば、主演の奈緒からは、「インティマシー・コーディネーター(IC)」の採用が要望された。
しかし、監督の彼は「間に人をいれたくなかった」としてICを却下し、撮影したことを明かしている。
結果としては、この一連のやりとりで、さまざま物議をかもしてきた作品の「劇場パンフレット」発売が結果的に中止されたということです。
各方面の配慮を踏まえて「製作上の都合により」とのことですが、勝手ながら、その考えられる理由を想像してみました。今後同じようなことが起こらないために、何が大切なのか、合わせて考えてみたいと思ったのが主旨です。
よろしければお付き合いください。
劇場版「パッフレット」発売中止までの経緯
7月4日、三木監督のIC不採用事実が判明
7月5日、初日舞台後、釈明、謝罪+劇場パンフレットの発売延期
製作委員会が
「撮影当時は日本での事例も少なく、出演者事務所や監督と話し合い、第三者を介さず直接コミュニケーションを取って撮影するという選択をしました」などと経緯を説明。
三木監督も「私の不用意な発言により、皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけした」と謝罪した。
そして、劇場パンフレットについては「一部不備がございましたため、差し替え版を後日発売させていただきます」と発売延期を発表していた。
昨日、「本作では出演者から要望があったインティマシー・コーディネーターを入れずに撮影をした」という内容のインタビュー記事が掲載されました。
本作の制作にあたり、出演者側からインティマシー・コーディネーター起用の要望を受けて、製作チームで検討いたしましたが、撮影当時は日本での事例も少なく、出演者事務所や監督と話し合い、第三者を介さず直接コミュニケーションをとって撮影するという選択をいたしました。
インティマシー・シーン撮影時は、絵コンテによる事前説明を行い、撮影カメラマンは女性が務め、男性スタッフが退出するなど、細心の注意を払い、「不安があれば女性プロデューサーや女性スタッフが本音を伺います」とお話をしていたので、配慮ができると判断しておりました。しかしながら、この度様々なご意見、ご批判をいただいたことを受け、これまでの私共の認識が誤っていた事を、ここにご報告申し上げると共に、製作陣一同、配慮が十分ではなかった事に対し、深く反省をいたしております。本作を楽しみにお待ち頂いているお客様、原作の鳥飼茜先生、出演者・スタッフの皆様に不快な思いをさせてしまったことを、心よりお詫び申し上げます。
2024 年 7 月 5 日 『先生の白い嘘』製作委員会
その後、公式サイトに一部サイレント削除が発覚
その状況下、公式サイトにも問題が発生。
同サイトには、奈緒が演じる主人公の原美鈴と風間俊介さん演じる早藤雅巳とのシーンの説明に「早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴」との一文が記載されていたが、同6日時点で「快楽に溺れ」という部分が削除されていたことが判明。
ネット上で「サイレント削除」と指摘され、批判の声が上がっていた。
そして、その後も製作員会からが削除理由の説明がなかったことで、劇場パンフレットに関する「不備」についても、「『快楽に溺れ』の文言があったのでは」の“疑惑”が浮上。
8月1日、発売中止の決定通知
結果的に、劇場公開後約1ケ月で、発売中止となったが、その経緯や詳細理由については、現在のところ明らかになっていない。
LINE漫画原作者・鳥飼茜さんの作品への想い
原作者・鳥飼茜 プロフィール
写真引用:海外の鳥飼茜先生紹介サイト
原作者・鳥飼茜さんの映画『先生の白い嘘』コメント(公式サイトより全文)
特定のニュースを名指しする必要もないだろう。性が犠牲になる出来事は今日も私たちの目の前にアップロードされている。
私は性被害を無くしたくてこの漫画を描いた。被害にあったひとが恐怖心から、恥辱から、自己嫌悪から、声を上げられずにいる様に憤って、胸を痛め、この漫画を描いた。
性を弄ばれると人は底なしの無力に突き落とされる。
人格なんて関係なしに、ただの容器かのように一方的な視線を浴び一方的に欲情され、恐怖の下ほしいままにされた後、愛だったとか合意だったとか「からかい」だったとか言われたら、そういうことにしておきたい気持ちがよくわかる。
だって人権を剥奪されて蹂躙された物体にされたなんて認めたくはないから。
そんな人として当たり前の欲求と、想像を絶する葛藤を超えた結果に被害の告発をした人の力強さには頭が下がる思いしかない。
彼等の告発がたとえ事後何年後であれ、その葛藤を私は讃える。
きっとそこには声を上げない選択をした人がいるだろう。それでも、誰かがこういう目に遭いました、と堂々と発する姿は、無言の被害者を否定することではなく、むしろ静かにその存在を肯定するはずだと、私は思う。
そう思っている人間がここにいますと、声を上げたくて描いたのが『先生の白い嘘』という漫画だ。
だからどんな演出をされようが映画『先生の白い嘘』もそういう立場でないといけないと、少なくとも原作の私は思っている。漫画が映像化するということは基本的には光栄なことだ。 それでも、メディア化というある種自分の手を離れる場面にあたって、自分は自分の描いたこの作品に最後まで粘り強く責任を取り続けたか、と問われると自信がない。
自分はこの漫画を描くとき確かに憤っていたのだ。ひとりの人間として、ひとりの友人として、隣人として、何かできることはないかと強い感情を持って描いたのだ。それはある意味特別で、貴重な動機づけだった。漫画に対していまあんな情動は持てない。
性被害に対し、何を言い、どんな立場なのか。そのシンプルで一方向的な態度と、より大勢のひとを巻き込む映像化というプロセスは、両立させることが非常に困難なものだと思う。 この映画に携わった全ての人の価値観を私がリードすることは出来ない。映像化にあたり、見せたい箇所が各々違うところにある場合もあると思う。それが漫画と違う大きなポイントだ。この映画を見た人が性被害について何を思うのか、思わないのかも、私にはタッチできない。 映画『先生の白い嘘』は私ひとりの手を遠く離れた映像作品だけれども、まず初めに上のような、人間の強い憤りが芽吹かせた物語であることは紛れもない事実だ。
そして一鑑賞者の私には、全てのシーンがともかく誠心誠意作られたものと感じられたことが大変ありがたかった。
考察・『先生の白い嘘』パンフレット中止理由の詳細、背景
思ったことを、素直に書いてみます。
『先生の白い嘘』原作者・鳥飼茜さんの想いを抜粋してみる。
私は性被害を無くしたくてこの漫画を描いた。
被害にあったひとが恐怖心から、恥辱から、自己嫌悪から、声を上げられずにいる様に憤って、胸を痛め、この漫画を描いた。
彼等の告発がたとえ事後何年後であれ、その葛藤を私は讃える。
そう思っている人間がここにいますと、声を上げたくて描いたのが『先生の白い嘘』という漫画だ。
だからどんな演出をされようが映画『先生の白い嘘』もそういう立場でないといけないと、少なくとも原作の私は思っている。
翻って、今回起こった出来事を振り返る。
主演女優が、そのシーンの特性から、ICの採用を要望した。しかし、一番の主導権を持つ人に、却下された。理解不足であった旨が反省として述べられた。
捉えようによっては、これは、性被害そのものだ。
どんな思いで映画の企画制作をしてきたのか、パンフレットには骨となる内容である。
何を書いても、言っても、やっていることと言行一致していなければ、言い訳以外のなにものでもない。
作品のテーマが、一番の軸になるべき核が、制作工程で成し遂げられていなかった。
これでは、パンフレットなど制作できるわけが無い。
結果、当たり障りのない「制作上の都合により」となったと考察する。
個人の妄想の範囲を超えない内容です。ご容赦ください。
まとめ
衝撃の理由!映画『先生の白い嘘』主演・奈緒の劇場パンフレット中止背景とは!?を、まとめてみます。
パンフレット中止の理由は「制作上の都合」でした。
しかし、その背後にはもっと深い理由がありそうです。
今回の経緯をならべて、同時に、原作者の想いと合わせて感じてみると、
衝撃的だったのは、映画の制作過程で、映画の根本テーマが達成されていない、と感じたことです。
そのため、パンフレットを作ることができなかったのではないかと、考察してみました。
結果、表向きの理由として「制作上の都合により」としか、言いようがなかったのでしょう。
今回の場合は、パンフレット制作の不具合として現れてきましたが、本質的なところとしては、作品原作者との想いの共有、すり合わせ不足となるのではないかと思いました。
これまでも数々の作品で、原作者との想いのすれ違いにより、悲しい事態が生じています。
ぜひ改善されることを望みます。
みなさんはいかが感じられたでしょうか?
これはあくまで個人的な意見です。ご了承ください。
一方で、このような背景はあるものの、映画『先生の白い嘘』作品自体は、関係者みなさまの骨身を削った渾身の作品となっていることは間違いないです。
原作者・鳥飼茜さんのおっしゃるように、「全てのシーンがともかく誠心誠意作られたものと感じられた」作品。
衝撃のストーリーと、展開、また漫画ではなく実写だからこその心えぐられる感じも、性被害を恐れずに済む新たな時代への導き手として存在するのだと思います。
原作者、そして映画製作にかかわられているすべての方に、感謝申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございます。