こんにちはtsubasaです。
TBS 7月期、金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』 ますますハマっています!
第5話は、ドラマの原作となった小説『笑うマトリョーシカ』の作者、早見和真氏の想いが表現された回でした。
その想いに触れて、さらにこのドラマ版の展開が小説とは異なったものとなるのを、ますます予感しました。
ドラマの中でそれを発見したシーンと、確認できた早見氏のインタビュー記事から、検証していきます。
物語は、人気の若手政治家・清家(櫻井翔)と彼を支える有能な秘書・鈴木(玉山鉄二)そして、新聞記者・道上(水川あさみ)の3人が中心に展開していきます。
道上は、父の事故死をきっかけに、彼らの隠された過去を本格的に調査し始めることとなります。
そしてそこには不審な死亡事故が次々と浮上。これらの事故は本当に事故だったのか・・・。
政治の世界を舞台に、裏に潜む人間の欲望や本質、謎を描いたヒューマン政治サスペンス。
原作は、同名の小説からとなっていますが、第1話のはじまりから、
ドラマオリジナルになっており、
また、原作小説では、秘書の鈴木視点から清家一郎を描いているようですが、
ドラマでは、ジャーナリストの道上視点で物語が展開していく違いとのことです。
昨今、小説・漫画などからのドラマ化に、原作者の意向とのすり合わせが出来ておらず、いろいろ問題が起こったりしておりますが、こちらの『笑うマトリョーシカ』の場合は、大丈夫そうですね。
作者、早見和真氏と打ち合わせがしっかりなされているようですし、その証拠として第1話にも、ご本人が出演されています。
はい、ということで、
今回のテーマ、原作者・早見和真氏のドラマ化唯一のリクエストと結末とは・・・そして、第5話の原作者の想いが強く表現されているシーン、「あのビデオタイトルってなに?」を見てまいりましょう。
原作作家・早見和真氏 経歴
画像引用元:映画.com
プロフィール
名前 : 早見 和真(はやみ かずま)
生年月日: 1977年7月15日生まれ
年齢 : 47歳(2024年時点)
出身地 : 神奈川県横浜市
日本の小説家で、デビュー作『ひゃくはち』をはじめ、話題作を次々と発表。高校時代は硬式野球部に所属し、20歳でライターとして始動。2015年には『イノセント・デイズ』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の代表作には『かなしきデブ猫ちゃん』シリーズ、『店長がバカすぎて』などがあり、幅広い読者層に支持されています。
受賞経歴
2008(平成20)年『ひゃくはち』でデビュー。
2015年『イノセント・デイズ』で日本推理作家協会賞受賞。
2020(令和2)年『店長がバカすぎて』で本屋大賞ノミネート。
同年『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞を受賞した。
引用・参考元:wikipedia
原作者・早見和真氏がドラマ化の際に出した唯一の「リクエスト」
こちらのインタビュー記事には、原作者・早見氏の唯一のリクエストが紹介されていました。
『笑うマトリョーシカ』を書くにあたっては、『砂の器』(松本清張著)へのオマージュだという気持ちはありました。作品を書くに当たって、どんな風に謎が提示されていて、その謎をどう剥がしていって、最後にどうなるのか、というように映画版の『砂の器』の構造を解体しました。最後の30分間「宿命」というテーマ曲が流れて一気に真実が明かされていくのですが、その最後の30分間を、愛南町に舞台を描こうと思ったんです。
引用:TBS NEWS DIG
「日本の中でここにしかない景色」と感じさせてくれる場所ってそんなに多くはないのですが、愛南町には、唯一無二の景色が間違いなくあったんです。
だから大事な場面を、愛南町で撮影してほしい・・・
撮影場所のリクエストだそうです。
ということは、それ以外は、映像の作り手へ任せる、ということですよね。
すごい信頼関係だなぁと感じました。
もう少しインタビューを読み進めると、その信頼関係や、表現は異なるが、同じ伝え物を表現するライバルであり、ドラマのほうでは原作部のスタッフメンバーである認識を語られていました。
とてもすてきな関係性だなぁと思い、下記、紹介させていただきます。
(インタビュア)——ドラマ版と小説では、主人公が変わっています。このことはいかがでしょうか。
(早見氏)小説の主人公は、櫻井翔さんが演じる政治家・清家一郎でした。
今回のドラマ化では、水川あさみさんが主人公として、新聞記者の道上香苗を演じてくれています。
道上が抱えている過去の部分などで、オリジナルのキャラクターやストーリーが加わったりしていますが、原作をしっかりと読み込んでくださったプロデューサーや監督、出演者のみなさんと、「伝えたいこと」が共有できているので、ドラマ版も「自分の生み出した物語」だと感じています。
原作と映像化された作品については、ある種ライバル関係だとは思っています。
ただ、ライバルではあっても敵ではない。
映像を作るにあたっては、「俳優」部・「演出」部・「音声」部など、役割ごとに分担があると思うのですが、僕は、いうなれば「原作」部のスタッフだと思っています。「映像に負けたくない」と思っている自分も間違いなくいますが、「頼むから面白くあってくれ」と願っている自分もいる。今回、出来上がったものを観て、素晴らしいスタートだなと思いましたし、面白いなと感じました。
引用:TBS NEWS DIG
清家一郎が泣きじゃくるビデオ作品は? 名作『砂の器』
第5話のこのシーン覚えていますか?
清家の自宅に、鈴木と佐々木が訪れ、一郎の心酔している? 映画を鑑賞していた。
観終わった直後、に涙していた一郎が、「二人に将来の夢ってある?」と問う。
自分は政治家になりたいと思っている。・・・父は和田島だと初めて家族以外に話す。
というシーンだったんですが、清家がビデオを取りだし、ケースに入れる瞬間があります。
一瞬だったのですが、タイトルをしっかり見せているのが、なにか引っ掛かり、
TVer視聴を一時ストップ! 何回かやらないとビタッと止まらないくらい(笑
の一瞬映り込んだビデオタイトル。
それは、映画『砂の器』でした。
引用:TVer
清家一郎、なんであんなに泣いていたんだろう?
そんな疑問を抱いていたら、先ほどのインタビュー記事「TBS NEWS DIG」内でも、早見和真氏が、
『笑うマトリョーシカ』を書くにあたっては、『砂の器』(松本清張著)へのオマージュだという気持ちはありました。
と言っていたのですね。
これは早速、砂の器と言う作品になにが表現されていたのか知りたくなります。
早速『砂の器』リサーチしてみました。
『砂の器』(松本清張著)作品概要
公開年月日 1974年10月19日
Introduction(作品紹介/概要)
松本清張の最高峰との呼び声も高い原作を映画化した推理サスペンスの傑作!
『張込み』『ゼロの焦点』の映画化で松本清張から高い評価を得ていた橋本忍、野村芳太郎のコンビに、脚本として山田洋次が加わり、原作には「親子の浮浪者が日本中をあちこち遍路する」としか書かれていないエピソードを、「父と子の旅」として繰り広げた渾身の脚本が出来上がった。日本各地で長期ロケを敢行。美しい四季折々の風景と共に、人間の宿命とは何かを描ききった松竹映画の代表作。
Story(あらすじ)
東京・蒲田にある国鉄の操車場内で殺人事件が発生。しかし被害者の身許が不明で捜査は難航。迷宮入りかと思われた矢先、被害者が殺される直前に或る男と会っていたことが判明した。 ふたりの会話のなかで交わされていた「カメダ」という言葉。地名か?人の名か?事件解明のために奔走する刑事、今西(丹波哲郎)と吉村(森田健作)は偶然、新進気鋭の天才音楽家、和賀英良(加藤剛)と遭遇する。そして、やがて事件は思わぬ展開を見せ始めるのだった…。
日本各地で長期ロケを敢行。
美しい四季折々の風景と共に、人間の宿命とは何かを描ききった松竹映画の代表作。
『宿命』のメロディが浮き彫りにする哀しくも美しい映像美。
クライマックスの40分間は推理サスペンスと感動が交錯する日本映画屈指の名シークエンス!
引用:概要あらすじ:松竹シネマ (https://cinemaplus.shochiku.co.jp/titles/detail/392/)
この作品の構造から、読み取れるのは、
「父と子の旅」・・・清家浩子と一郎の旅
人間の宿命とは何か・・・これはそのままテーマが重なっていると思われます。
砂の器の主人公は、ある時期、年齢も詐称し、新たな戸籍を作成し、その後音楽家として大成功するも、自身の過去を知る人間を消すための数々の殺人事件であった・・・今回の黒幕、ハヌッセン的人物の行動
なんか、つながってくるのです。
清家一郎は、「父と子の旅」・・・と自身を重ねて、母・清家浩子と自分のつらかった過去の暮らしを思い返して泣いていたのではないでしょうか。
そして、それを見返すために、政治家になる。また「なりなさい」と、育てられていたのではと。
まとめ
『笑うマトリョーシカ』第5話考察 原作者・早見和真氏の語るドラマ化唯一のリクエストと結末とは、をまとめてみます。
- ドラマ化唯一のリクエスト:大事な場面を、「日本の中でここにしかない景色」と感じさせてくれる場所、愛媛県愛南町で撮影してほしい!
- 『笑うマトリョーシカ』執筆にあたっての早見氏オマージュ作品:『砂の器』(松本清張著)の映像版
- 清家一郎は、なぜビデオを観て泣いていたのか?そのビデオはなんだったのか?:松竹映画『砂の器』
- 『砂の器』あらすじより:「父と子の旅」・・・と自身を重ねて、母・清家浩子と自分のつらかった過去の暮らしを思い返して泣いていたのではないでしょうか。
- ドラマ版の結末は、小説版と同じ(一番伝えたいメッセージに集約される)。
しかし、その見せ方、感じさせ方は、ドラマ班に全委任!
いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
第6話、楽しみにしてまいりましょう!